浮気と慰謝料

夫(妻)の浮気・不倫に直面すると,どうしても頭によぎる離婚の二文字。でも,離婚後の経済的事情を考えてしまうと,なかなか決断できない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そこで,「弁護士が教える!浮気・不倫の慰謝料講座」第3回では,離婚する場合と,離婚せずに慰謝料請求をする場合,どちらがいいのでしょうか。

 

浮気した夫(妻)と離婚すると,お金で損するケースもあり!?

夫(妻)の浮気が発覚し,離婚を考えた場合,浮気相手への慰謝料請求だけでなく,子どもの親権や養育費,財産分与,年金分割など,多くのことを事前に決めておく必要があります。「夫(妻)の浮気が原因で離婚になったのだから,お金を支払うのは全部,夫(妻)だ」と思われる方がいるかもしれません。しかし,実際にはそうはならないケースがあります。下の表をご覧ください。「相手のせいで離婚するのに,どうして?」と思うお気持ちはわかりますが,実は浮気と養育費や財産分与は無関係なのです。

 

たとえば,浮気が原因で離婚し,浮気相手(または配偶者)から高額な慰謝料を獲得できたとしても,あなたが子どもの養育費や財産分与,年金を支払うことになった場合,長期的に計算すると,手元に残る慰謝料が少なくなったり,慰謝料よりも多く支払が発生したりと,結果的に損してしまうおそれがあります。

いっぽう,あなたが養育費や財産分与,年金を受け取る立場だった場合は,どうでしょうか?慰謝料と養育費など両方を受け取るわけですから,一見すると損することはなさそうですよね。ですが,気をつけてください。長期的に考えると,損をしてしまうケースもあります。

 

Aさんは,夫であるBさんの浮気が原因で離婚し,浮気の慰謝料として250万円を受け取りました。また,Aさんは,10歳のお子さまの親権者となり,お子さまが成人するまでの10年間,毎月10万円の養育費を受け取ることになりました。10年間の養育費は合計1200万円で,浮気の慰謝料と合わせ,1450万円を受け取る内容で合意しました。

ここまでを聞いたかぎりでは,とても損しているとは思えませんよね。しかし,続きをみると…。

実はAさんはBさんから,家族の生活費として毎月20万円を受け取っていました。仮に,離婚しないで10年後まで20万円を受け取り続けていたら,合計2400万円を受け取れる計算になります。離婚した場合に受け取る予定の1450万より,950万円も多い金額です。さらに,離婚しないで浮気相手から慰謝料を獲得すれば,受け取る金額はさらに多くなります。

離婚の際には,このようなことが起こり得ますので,浮気が原因で離婚を決断する前に,離婚や慰謝料問題に詳しい弁護士へ,一度ご相談することをおすすめいたします。